Sweet Holiday

SUPERJUNIOR、イケメンですねの二次小説を書いています。 隣国のパールサファイアブルーのお兄さんたちのFFサイトです。 ソンミンペンですので、ミン君総受けFFが多いです。 キュミン・ヘミン・カンミン・イェウクなどあります。 色んなCPは苦手・・・という方はご遠慮ください。 二次小説、FF、BLの意味がわからない方はご遠慮ください。全て自己責任でお願いします。

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ホシアイ *2 (キュミン)

ホシアイ*2


その日はあいにくの空模様であったが、機織もひと段落し、影法師の二人もそれぞれの業務で傍におらず、
晟皇子は界下へ降りてみたくなった。
影法師をつけず単独で下へ降りることなど許されない身分ではあるが、兄皇子たちは民のように化けて
界下の暮らしを見て回っているという。
民の希望をかなえるのが自分の役目ならば、直に暮らしを見ることも自分の役目なのではないか。
王宮の奥深く、届けられる願いを折り続けるだけではいけないのではないか。
そう晟皇子は考え、二人が戻ってこないうちに王宮の下男たちからこっそりと、なるべく貧相な服を選んで
借りた。
二人に言えば、制止させるのが目にみえていたからだ。
なぜか父である天帝も、二人の影法師も晟皇子が下へ降りるのを是とはしなかった。
一度下へ降りたいと直訴してみたが、けんもほろろに断られ、それ以来下へ行きたいとも思わなくなっていた。
けれど、なぜかその日は無性に行きたくなった。
下々が身に纏う服は、晟皇子の白く肌理細やかな肌に棘のように刺さる。
堅く薄い靴は、すぐに晟皇子の足を疲れさせた。
それでも、と、兄皇子たちがこっそりと降りて行くときに使う秘密の通路から晟皇子は界下へと降りた。

晟皇子は自分のいる場所がどこなのか全くわからなかった。
住まう王宮から遥かかなたの場所へ降り立ったことだけはわかる。
今まで王宮の中だけ見ていた晟皇子には、見たことがないような風景が広がっているからだ。
天帝の住まう裾野の街は、裕福だと聞いていたが、降りた場所では生活が豊かな人種は見つけることが出来ない。
これでは…天帝の元へ願書がとめどなく来るはずだと晟皇子は納得した。
人々の暮らしは慎ましく、自分の暮らしはいかに何不自由なく、華美なものに囲まれて生活をしているのか
よくわかった。
かといって、今の晟皇子には人々へ何をすることも出来ない。
自分には、天帝の元へ届けられた願いをただ織ることしか出来ないのだと、思い知らされるだけだった。
このまますぐに戻っては、もったいない気がする。
すぐに自分がいないと気がついた影法師の二人が探しにくるに違いない。
見つかる間だけでも、もっと人々の暮らしを見たいと、晟皇子は町の中を歩くことにした。

しばらく歩くと、天から雨が降ってきた。
パラパラとした雨から、豪雨に代わる。
晟皇子は大慌てで、ある一軒家の軒下へ雨宿りをしに駆け込んだ。
最近では、突如このような豪雨が降り、農作物を流してしまうという。
民が天帝が怒ってこのような雨を降らせていると噂していると晟皇子は聞いたことがあった。
だとすれば、この今の豪雨は勝手に下へ降りてしまった自分への怒りの雨なのかもしれない。
晟皇子は、雨が止んだらすぐに王宮へ戻ろう。
そう思っていた時だった。

「すごい雨ですね」

同じように隣で雨宿りをしている青年が、突然声をかけてきた。
晟皇子は隣に人がいることにも気がつかず、ビクリと体を震わせ、声の主を見た。
自分と同じぐらいの年齢で、今まで畑仕事をしていたのか、顔にも服にも泥がついていた。
民と話をするのは初めてで、晟皇子は、なんと応えていいのかわからず、口ごもってしまった。
返事がないことを気にするふうでもなく、青年は降り続ける雨をずっと眺めていた。
雨がやまないと、仕事が出来ないのだろう。
自分が帰れば…雨はやむかもしれないと、晟皇子は軒先から出ようと一歩足を踏み出すと、

「お待ちなさい」

と、また青年が声をかけてくる。

「もう少しで天帝の怒りも収まるでしょう。そんなに長く怒るようなことはなさらないでしょう」
「なぜ…そのようなことがわかるのですか」
「天帝は、我らを苦しめるようなことはしないからです」
「…」
「私たちの暮らしを良くするために、見守ってくれています。きっとこの雨も、
最近雨が降っていなかったので、恵みの雨として降らせてくれているのだと思います」
「…そうでしょうか」
「そうですとも。我が家の牛たちも、暑くて水が欲しいと思っていたところですよ」
「牛…?」
「はい。私の生業は牛飼いです。我が家にはたくさんの牛が居て、毎日大忙しです」

と、青年は笑う。
つられて晟皇子も笑った。

「面白いことをおっしゃるのですね」
「面白い?」

青年に問われ、晟皇子は応える。

「天帝は暮らしを良くするために見守っていると」
「その実そうではありませんか」
「そうであれば、なぜこのように民の暮らしは貧しいのでしょう。天帝が見守っているのなら、
もっと民の暮らしは裕福なはず」
「…あなたこそ、面白いことを言うのですね」
「そうではありませんか。現に、あなたの服も…」
「ハハハ…そう思いますか?私はこれで十分です。いちいち着替えていては、服が何枚あっても足りません」
「でも…そんなに汚れて…」
「牛を飼っているのですから、汚れるのは当たり前です。
それに、人前で会う時の服は他にもあります。これ一枚ではありません」

そう青年に言われ、晟皇子は自分の浅はかな考えを恥じ、青年から目を背けた。
確かにそうだ。
目先にあることだけが事実ではないのに。

「すみません…」
「いえ。謝るのは私ではなく、天帝に謝ってください」
「天帝に…ですか」
「はい。天帝のおかげで…私たちが生活しているのですから」

そう感謝する青年の横顔を、晟皇子はじっと見つめた。
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